突然ですが、「地震・雷・火事・親父」という諺、皆さんも知っていると思います。これは、この世で怖いものを順番に並べた言葉と言われています。
こう見ると、昔の人は、地震が一番怖かったみたいですね。
これは、現代においても変わらないと思います。首都直下型地震や南海トラフ地震においては、30年以内に70%の確率で発生すると言われこています。
だから、近い将来起こるであろ地震災害に備えて、防災備品や備蓄食料・水などをストックしておき、きちんと準備しておきたいものです。ただ、マンションに住んでいる方の中には、「マンションは災害に強い」、「いざとなれば避難所へ避難するから大丈夫」、「管理組合や管理会社が準備してくれている」と言って、全く備えていない人も少なくないのではないでしょうか。
でも、これは正しい反面、見方を変えれば間違ってもいます。今回は、その理由と、どういった備えをしていった良いのかお話してみたいと思います。
マンションの防災について正しく知ろう
これまで、理事会役員としてマンションの防災活動に関わってきました。管理組合の消防訓練や理事会、総会の場で災害に対する備えを居住者にお願いすると、決まって以下のような反応がありました。
- マンションは、災害に強いと聞いている。
- いざとなったら、避難所へ行けば大丈夫。
- 備蓄食料や飲み水などの備蓄品は、管理組合で用意してくれている。
マンションの災害対策について、このように捉えている人も少なくないのではないでしょうか。何を隠そう、はっさくも管理組合の運営に携わるまでこのように考えていました。でも、実情はちょっと違うんです。
建物自体は地震に強い、でも・・・
「マンションは地震に強い」・・・これは決して誤りではありません。マンションは一般的に鉄筋コンクリートや鉄骨鉄筋コンクリートで造られる為、木造が多い戸建て住宅と比べて耐久性や耐火性に優れ、地震にも強いとされています。
特に建築基準法が改定された1981年以降に建てられた所謂「新耐震」のマンションでは、法令上、震度6~7でも倒壊しないことが求められており、建物自体の生存性はより高くなっています。
ただし、これは建物自体の話。建物に付属している設備となると、話は別になります。
地震が発生すると、高い確率で発生するのが停電。マンションの設備は、驚くほど電気に頼っています。照明はもちろん、給水ポンプやエレベーター、自動ドアなど・・・
停電してしまうと、これらが全て使えなくなります。電気が使えないので、建物の中は真っ暗、給水ポンプも動かないので上層階は水も使えない、エレベーターも動かず自動ドアも開かなくなってしまいます。
マンションによっては自家用発電機を備えているところもありますが、それがカバーしているのはマンションの非常用エレベーターやセキュリティ設備がいいところです。しかも燃料が尽きれば、それも使えなくなってしまいます。
つまり、マンションの建物自体は地震に強い作りをしていますが、それに付属している設備は、とても災害に弱いんです。
避難所は使えない場合もある?
よく、自然災害が起こると多くの人が避難所に避難している様子がニュースで流れますね。当然、地震災害が発生した場合も、学校の体育館や公民館などの公共施設に避難所が設置されます。
中には「震災が発生したら避難所に避難すればいいのではないか」と考えている人もいると思います。でも、避難所に避難するのって意外にリスクが高いんです。
まず、プライバシーの問題。避難所の多くは、広い公共施設を簡易的なパーテーションで仕切っているだけなので、プライバシーはないに等しいです。話し声・足音・鼾・物音・・・
マンションに住んでいると、上階や隣戸からの物音や足音に悩まされることがあります。そういった音ですら気になると中々眠れなかったりするのに、まして簡易的なパーテーションで区切られただけの空間で長期間避難生活を送るというのは、ものすごいストレスになります。
また、多くの人が集団で避難する為、インフルエンザや食中毒などの感染症のリスクも高まります。
そもそも、前にも触れたようにマンションの建物自体が地震に強いと想定されている為、自治体の防災計画や避難の想定人数にマンションの居住者が含まれていないなんてこともあります。
蓄えている備蓄品、本当に使えますか?
「私のマンションは管理組合で非常食や飲み水を備蓄しているから大丈夫」という声もよく聞きます。本当にそうでしょうか?その備蓄品はすぐに使えますか?
管理組合や管理会社で非常食や飲み水を備蓄している場合、管理組合の倉庫や防災備蓄庫でまとめて保管している場合がほとんどです。
では、万一、災害が発生した場合、その備蓄品を誰が開封して各戸に配布するのでしょうか?
管理組合によっては防災組織を編成し、災害時の対応にあたる計画を立てていたりします。でも、防災組織の構成員も同じ居住者です。災害が発生した場合は、他の人と同じように被災します。そのような中で、自分のことを後回しにして防災組織の業務にあたるというのは、現実的ではありません。加えて、震災が平日の昼間に発生した場合、多くの人が仕事に出ていて帰宅困難者となり、防災組織が機能しないことも考えられます。
また、管理組合や管理会社で用意している保存食は一般的な乾パンやビスケットです。それが全ての人に適するとは限りません。歯の弱いお年寄りやアレルギーがある人、子どもや赤ちゃんなどは、それぞれ適した保存食を各自で用意しておく必要があります。
備えあれば憂いなし
マンションに住んでいる方の中には、「マンションは災害に強い」、「いざとなれば避難所へ避難するから大丈夫」、「管理組合や管理会社が準備してくれている」というような考えを持っている方も多いかと思いおます。
でも、実際には
- マンションの設備は震災に対して脆弱
- マンションの場合は、避難所より在宅避難の方がリスクが低い
- 管理組合などで食料や飲み水を備蓄している場合でも、それが震災後すぐに活用できるとは限らない
など、マンションにもマンションなりの弱点があります。なので、管理組合とは別に、独自に食料や水など最低限のものを揃えておく必要があります。備えておく量は3~7日分が良いでしょう。大まかな量を書いておくので、参考にしてみてください。
- 食料 1日3食/人×家族分×3~7日分
- 水 1日3ℓ/人×家族分×3~7日分
これは、最低限のものなので、そのほか簡易トイレなど、必要に応じて検討してみてください。また、おススメの防災備品などは後日紹介していきたいと思います。
今回はマンションの防災について、防災備蓄品の面からお話させていただきました。
震災は、いつか必ず突然やってきます。来た時の備えは他人頼みにせず、しっかりと自分で必要なものをしっかり準備しておきましょう。
「備えあれば憂いなし」です。
おしまい
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